非正規雇用の常態化‐同一労働同一賃金の目的とは

先日の記事で非正規雇用の割合が全体の4割に達したと述べたばかりですが、今度はその割合を更に加速する様な議論が国会でされているようです。それは同一労働同一賃金の原則という事ですが、それはつまり同じ労働をしているなら雇用形態に関わらず同じ賃金を支払うという事です。正規雇用と非正規雇用の労働内容が明らかに異なるような場合は関係ありませんが、例えば同じ作業場で全く同じ作業をしているのに社員、パート、アルバイトで賃金が異なるのは認めないというものです。これは非正規雇用者の不利な待遇を改善する為ともいわれていますが、逆にいえば正規雇用者の待遇や地位を脅かす可能性がなきにしもあらずです。確かに派遣社員、パートやアルバイトでも社員並みに働いている場合は多く、そうした場合の待遇改善は必要だと思いますが、逆に同一労働同一賃金だからと正規雇用者の待遇が非正規並みに改悪される可能性もあるのではないでしょうか。企業の論理からいえば非正規の待遇を改善してコストアップになるより、正規の待遇を非正規並みにしてコストダウンした方がメリットがあります。正規の待遇を非正規の待遇並みにして同一労働同一賃金とすれば原則には適っているというわけです。

 

残業代ゼロ法案が可決されたり、世の流れは人件費削減に邁進しています。一昔前は世界の工場と呼ばれた中国でも今は人件費高騰で製造業が低迷しています。今ではミャンマーやベトナムなど人件費がより安い地へ移転しており、それらの国でも人件費が高くなれば、より安い他国へ流れていくのではないでしょうか。人件費削減、コストカットの流れは避けられないものであり、日本でも景気に関わらず行われていくと思われます。

コメントする

CAPTCHA