クレーム処理能力 #2

前回「クレーム処理能力 #1」でクレーム処理の重要性を述べました。それではクレーム処理の重要性を認識したところで、実際にどのような対応をすればよいのか考えてみましょう。前回は「お客様の身になって考える」と述べましたが、それはすなわち自分自身が不良品なり欠陥品を手にしてクレームをするときに、企業側にどんな気持ちでどんな対応をして欲しいかを考える事です。何万円もする商品が不良の場合もあるし、数百円、中には百円程度の商品に欠陥があって連絡してくる顧客もいます。連絡するとしても遠方に住んでいる場合もあるし、携帯電話で連絡すれば電話代だけで数百円になる場合もあります。百円の商品のクレームに数百円の電話代がかかるならば、商品代金より自己負担の通信費の方が上回ってしまいます。大抵の人は少額商品の欠陥なら何もわざわざ連絡して揉める必要もないし面倒くさいと考えてしまうでしょう。

 にも関わらずわざわざ自腹を切ってまでクレームをする顧客は一体何を求めているのでしょうか。もちろん、返品や交換等の経済的理由はあるでしょうが、実際はそれだけではなく謝罪、お詫びを求めるといった精神的理由である場合が多いのです。いやむしろ謝罪、お詫び、そして顧客への理解と共感といった精神的理由の方が比重が大きい場合があるのです。
 こうした精神的理由、言い換えれば精神的補償を求めてくる顧客に対して経済的理由、経済的補償のみで対応しようとすると怒らせてしまう事が多くなります。顧客にしてみれば少額商品の損失などは些細な事で、返品・交換はどうでも良いと思っている方もいます。もちろん、一概にそうとばかりいえませんが、それよりむしろ自分の立場を理解して謝罪してくれれば別に返品などしなくても良いと思っている方もいるのです。更には補償はどうでも良いが、欠陥がある事で企業のイメージダウンになる事を心配してくれたり、他の顧客にも同じ事があったら大変だなどと心配して連絡してくれる顧客さえいるのです。その顧客は私の買った商品が不良品だったので、もしかしたら他の商品も不良品かもしれず、他の顧客、そして企業の評判の事まで気に掛けてくれたのです。
 そうした顧客の気持ちを理解できずに経済的補償だけで解決しようとすると、怒らせてしまうか「二度と利用するか!」となってしまいます。企業の事を心配して連絡してくれているにも関わらず、「弁償すればいいんでしょう」とか「金を払えば文句ないでしょう」的な態度では怒らせてしまうのも無理はありません。
 ですから、そうした顧客には深く謝罪すると同時に、感謝の念を持たなければなりません。自分よりも他人や企業の事を心配してくれている事に感謝すれば、おのずと対応は変わってくるはずです。クレームの連絡が来たのならば、逆に「わざわざ教えて下さってありがとうございます。早速、他の商品(サービス)にも欠陥がないか調べさせていただきます。お客様の商品に欠陥があり、大変申し訳ありませんでした。」といった回答が必要です。当然、顧客の商品の欠陥について誠実に謝罪する必要があります。そして、クレームしてくれた顧客が他の商品の欠陥を気にしておられるなら、まずは当方の商品(サービス)に不具合や不手際がないか調べる必要があります。顧客には迷惑をかけてしまった事を重々お詫びして、返品、交換、返金等の対応をさせて頂きます。もし、顧客があまり経済的補償を重視しているのでなければ、くれぐれも謝罪や感謝の言葉は忘れてはいけません。

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